金型の冷却
金型製作で冷却が重要な理由
金型温度の上昇によるトラブル予防
プレス金型を使ってプレス加工を行いながら、同時に熱を使った焼入れ加工で金属部品の耐久性や強度の向上を目指す場合、当然ながら金型や成形物の温度管理が適正化されていなければなりません。適切な焼入れを実現するためには、温度が上がりすぎても下がりすぎても問題になるため、冷却によって温度管理を効率化することが重要になります。
クリアランスの狂いや製品破損を防ぐ
プレス加工では、金型に重ねた金属板にパンチで圧力をかけて様々な部品を成形しますが、この際に衝撃や熱が発生してパンチを摩耗させたり、加工材料に余分な熱変形を生じさせたりすることが問題です。そのためプレス加工に金型の冷却を組み合わせ、パンチや成形物の破損を防止したりクリアランスの狂いなどを抑制したりします。
プレス金型の冷却方法
水焼入れ
水焼入れとは、対象物を焼入れに適した温度まで加熱した後に、冷却液である水へ浸して急速冷却を行って硬度を高める熱処理加工です。
冷却液としては水の他にも油が利用されますが、特に水を使った焼入れを水焼入れと呼んで区別します。プレス金型を活用してプレス加工と焼入れ加工を同時に行う場合、最初に金型を加熱して加工材料の温度を高めてプレス加工を行った後、水を使って一気に温度を下げて成形物の硬度を向上させることが可能です。
エアジェットクーラー
エアジェットクーラーは、水の代わりに空気を当てて金型や加工材料の温度を下げる空冷式の冷却方法です。プレス金型やプレス焼入れでエアジェットクーラーを用いる場合、金型の板押さえ部品へあらかじめ冷却のための貫通穴を設けておき、そこへ氷点下（約マイナス3度）まで冷却した圧縮空気を流し込んで金型内の温度を一気に低下させます。
PL冷却
プレス金型における「PL」とは「Parting Line（パーティングライン）」の略称であり、成形物の取り出し時に金型を分割するラインを意味します。PL冷却は冷却管をPLの周囲へ配置し、プレス加工と同時に冷却することが特徴です。
