プレス金型は時に修理が必要になる場合があるため、日々のメンテナンスが大切です。そこで修理やメンテナンスの注意点などについて、様々なポイントから見てみましょう。
プレス金型を使用した作業中に発生するトラブルには、いくつかの種類があります。どのような事例があるのか、事前に知っておくこともトラブル回避のポイントです。
ここからは、プレス金型でよくある故障と対策について解説していきます。
プレス金型の故障で多いものが、材料を送る際に異常が発生してしまうケースです。まずは、代表的な材料送り異常の症状や原因、対策をピックアップしましたので確認してみましょう。
コイル材を使用したプレス加工の際に異常が発生することがあります。これは、アンコイラと材料の送り装置との間で起こる材料のたるみが原因となります。
コイル材の材料送りの故障を防ぐために重要なのがループコントロールという“たるみ管理”が、使用している材料に適しているかという点です。軟らかな材料の場合には、材料を送っている際に曲がりが発生することがあり、このようなケースではタッチ式センサーによる管理が適しているといわれています。また、プレス加工回転率を上げた際、送り装置入口付近で発生するバタツキ現象は加工ミスにつながる異常です。spmを重視する場合は、S字ループコントロールを採用した機械を検討するといいでしょう。
順送加工や穴抜き加工などで発生する故障が“カス詰まり”です。カス詰まりは、そのまま放置すると金型を破損させてしまう恐れがあるため、きちんと対策をしておきたいものの一つ。カス詰まりの主な原因といわれるのが、パンチやダイの刃先の劣化です。使用している期間が長ければ、当然に劣化も症状として現れるものですが、金型を破損する前に抜きカスの落下状態を把握することがポイントともいえます。
プレス機械によっては、センサー検知の機能がついているタイプもあります。しかし、カス詰まりは、センサーで検出されにくい小さなカスによっても起こるため、加工音などの変化で異常に気付く作業者が在籍していることが大切のようです。
可動ストリッパ構造の金型で発生する可能性の高い故障の一つです。これは、下曲げパンチ等がある場合に、可動量が大きくなることでパンチガイド部分からパンチが外れることで起こります。ストリッパからパンチが外れると、刃先を痛めてしまうことがあり、事前に対策すべきものといえるでしょう。
ストリッパの穴を途中からテーパー加工し、ワイヤーカットすると、穴に逃しをつくることができるため、故障発生の対策が可能です。
プレス金型本体が故障してしまうと、工場生産がストップしてしまうなどといった大きなトラブルに繋がることも懸念されます。突然の故障で対応不能となる前に、故障発生のタイミングを知っておきましょう。
金型の故障期は、下記の3つに分けられます。
初期に起こる故障は、製造品質不良が原因で発生します。金型に使われている部品の品質不良や基本設計ミスなどによるもののため、メーカー保障の範囲内となるケースが多いことも特徴。しかし、故障発生により生産ができなくなるため、対応の範囲やスピードについても確認しておくことがおすすめです。
安定した作動を繰り返しているなか、突然何らかの原因により発生することを偶発故障期といいます。故障原因とされるのが、設計の品質不良です。設計品質が不十分なことにより、部品の寿命が想定より早まったり、破壊してしまうというケースがあります。偶発故障期は、一般的には予測困難な点も特徴です。
摩耗故障期は、金型の寿命によって故障が起こる時期をいいます。連続生産することで機械は劣化するため、どの金型であっても起こり得る故障期といえるでしょう。
しかし、メンテナンスによって予防保全することができるため、摩耗故障は唯一発生を回避することができるものでもあります。
プレス金型を適切に使用していたとしても、トラブルや経年劣化、摩耗などによって故障してしまうケースがあります。その為、日々のメンテナンスが大切です。また、メンテナンスの際に気をつけるべき点も紹介します。
まず、金属プレスの修理やメンテナンスを誰がするのかという点です。これは金属プレスの業者次第です。修理やメンテナンスまでパッケージングしている業者もあれば、それらを含まない代わりに安価で提供している業者もあります。そのため、注文する際に尋ねておきましょう。
基本的に多くの業者は自社で設計した金型プレス機のメンテナンス・修理を行っていますが、中には少数ではありますが他社の金属プレス機の修理・メンテナンスを行っている業者もあります。
注文した業者でメンテナンスや修理を行わない場合、自社で対応する以外に、このような業者に依頼するのも一つの方法です。
金属プレス機も機械です。トラブルやアクシデントはいつ起きるか分かりません。そのため、すぐに対応してもらえる環境が望ましいです。
適切に使用していたとしても、例えば地震や台風等の自然災害の影響を受けて正常に動作しなくなってしまう可能性もあります。また、24時間稼働させている工場であれば、早朝や深夜に何らかのトラブルやアクシデントが発生する可能性もあります。
間違った使用方法だけがトラブルやアクシデントの原因になるわけではない為、日ごろの修理やメンテナンスが重要であると共に、緊急時にすぐ対応してもらえる体制かどうかかも重要な部分です。
緊急時の対応はもちろんですが、軽いメンテナンス程度であればレクチャーしてくれる業者が望ましいです。
メンテナンスは定期的に行うことが望ましいのですが、修理と比べると決して高い技術を要するものではありません。そこで、メンテナンス方法をレクチャーしてくれる業者を選ぶのも良いでしょう。
修理や大きなメンテナンスは業者に依頼しつつ、軽いメンテナンス程度であれば自ら行うことで、金属プレス機を長持ちさせることができます。
同一形状の部品を均一に量産できるため、生産効率を向上させることができるプレス金型。
高度な技術が必要とされ、依頼する金型メーカーによって制作・量産にかかる期間や品質が異なります。
そこで、金型メーカーを選ぶ基準となる、精度を含めた品質・試作~量産までのスピード・起工~部品納品までの付帯費用を含めたコスパの3点それぞれに優れている金型メーカーをご紹介します。