長く付き合える
プレス金型メーカーは?
おすすめのプレス
金型メーカー3選
金型の損傷では、摩耗や焼付き割れ、折れ、欠け、変形、へたりなどが挙げられます。損傷を防ぐためには型設計や加工条件のほか、適切な硬さの材質選択も重要です。たとえば加工条件に対して金型の強度が不足している場合、金型が破損することがあります。
金型の材質にはさまざまな種類があり、工具鋼や超硬合金などが挙げられます。材質を選択するときは「圧縮強さ」や「摩擦消耗」「靭性」に留意し、焼入性や不変形性、加工性、加工条件なども考慮したうえで決定します。
金型と抜き用の素材の硬さが合っていない場合、プレス加工時にズレが生じる可能性があります。そのため、金型の材質は抜き用素材の硬さに合ったものを選定する必要があります。
金型の材質が適切でない場合、数回の使用で金型が破損してしまう可能性も考えられます。数回で破損してしまっては金型製作にかけた時間もコストもムダになってしまいますから、適切な材質を選択することが大切です。
プリハードン鋼とは、熱処理を施して硬度を調整した材料です。鋼材メーカーによって多くの固有名称があり、HPM、NAKなどがあります。
プリハードン鋼の多くはHRC45以下(硬さの単位)の硬度に調整されており、高硬度を確保しながらも被削性に優れているのが特徴。熱処理済みのため焼き入れや焼き戻し、研磨仕上げが不要で追加工程をカットできるというメリットもあります。そのため、納期短縮や加工コスト削減が可能です。
治工具や各種金型に利用される工具鋼であり、JISでは炭素含有量に応じて11種類の鋼種が規定されています。炭素含有量が多いものほど硬度が高く、SK60(0.55~0.65%C)からSK140(1.30~1.50%C)まであります。
刻印やプレス型などの靭性も求められる工具には炭素含有量の少ない鋼種が適しており、プレス金型ではSK105(旧SK3)やSK85(旧SK5)、SK65(旧SK7)などが用いられています。
特殊鋼のなかでも工具用途の硬い鋼を特殊工具鋼と呼びます。耐摩耗性や耐衝撃性に優れており、炭素工具鋼のほか、合金工具鋼や高速度工具鋼なども含まれます。
特殊工具鋼では鋼中の炭素にクロムやニッケル、モリブデンなどの元素を加えており、加える元素によって硬度や靭性、熱間強度などの特性が異なります。たとえば合金工具鋼であるSKS3やSKS93では、油焼き入れが可能。冷間金型に用いられています。
ダイス鋼は合金工具鋼の一種であり、冷間金型向けにつくられています。JIS規格ではSKD11と規格されており、プレス型や転造ダイス、ホーミングロールなどの用途で活用。
ダイス鋼は鉄をベースとしてクロム12%・炭素1.5%・モリブデン1%・マンガンやケイ素、バナジウムなどを含んでいます。熱処理を施せばHRC58以上の高硬度を実現でき、安定した寸法を得やすいのが特徴。熱処理やワイヤーカット、放電加工による歪みが生じにくくなっています。
一般的に、ダイス鋼は小ロット生産の場合や薄板加工、設計変更の可能性がある場合などに採用されることが多いようです。
高速度鋼はハイス鋼とも呼ばれており、切削工具などで広く用いられている鋼です。高速切削を実現するために開発されており、靭性が高く耐摩耗性に優れ、加工も容易。
たとえば高速度鋼のなかでモリブデン系に分類されるSKH51は、耐摩耗性と靭性が良好。カッターなどの刃物系の材料として用いられることが多く、冷間鋳造用金型や冷間圧迫金型、精密金型などの材料としても活用されています。なお、熱処理を行えばHRC60~63程度の硬度を得ることも可能です。
一般的に、高速度鋼は大ロット生産や難加工材の加工、中・厚板の加工、コーティング処理との併用などの場合に採用されることが多いようです。
硬質の金属炭化物と鉄系金属で構成される合金であり、耐摩耗性が必要な加工工具やプレス金型に用いられています。超硬合金はダイヤモンドに次ぐ硬さをもち、重さは鉄の約2倍。強度や弾性にも優れており、高温時の硬度低下も少ないのが特徴です。抜き加工では、超硬工具協会規格であるV30やV40が用いられています。
プリハードン鋼(HPM)は熱処理済みで被削性が高いのが特徴。たとえば軟鋼板をごく少量加工したい場合は、パンチプレートやストリッパプレートにプリハードン鋼を使用すると良いでしょう。ストリッパプレートにプリハードン鋼を使用する際はかす取りを主機能とし、パンチガイドや材料押さえの機能を求める場合は特殊工具鋼(SKS3)やダイス鋼(SKD11)を使用するのがおすすめです。
炭素工具鋼(SK3)はプレス型のほか、たがねやゲージ、刃物、治工具の用途でも用いられています。炭素含有量は1.00~1.10%であり、硬度や耐摩耗性に優れているのが特徴。
2000年のJIS規格改訂によってSK105に表記が変更されています。プリハードン鋼のように、軟鋼板をごく少量加工する場合にパンチやダイで使用するのがおすすめ。ただしSK3(SK105)は焼き割れや焼き狂いが起きやすいため、油焼き入れが可能な特殊工具鋼が使用されるケースが増えているようです。
特殊工具鋼のなかでもSKS3は冷間金型用としてゲージやシャー刃、プレス型、ねじ切ダイスなどの用途で用いられています。軟鋼板の加工で少量から量が増えた場合はまず材質を特殊工具鋼に変更し、加工量の増加に合わせてダイス鋼や超硬合金へと変化させていくのが一般的です。
ダイス鋼SKD11は冷間金型向けにつくられています。ワイヤカット放電加工を行う際は高温焼き戻しによって硬度がHRC58程度となってしまいます。耐摩耗性が低下するため、高温焼き戻しが必要な場合はDC53などのダイス鋼を用いるケースが多くあります。
ハイス鋼とも呼ばれる高速度鋼。SKH51はモリブデン系に分類されており、摩耗に強く靭性が優れているのが特徴です。比較的小さいパンチやダイで靭性を求めるときに使われることが多く、ダイス鋼に代わってSKH51を採用します。ダイス鋼よりも多くの生産量に対応できますが、長寿命化を図るためには粉末ハイス鋼や超硬合金へ変更します。
ダイヤモンドに次ぐ硬さに金と同等の重量をもつ超硬合金。プレス金型に使われる超硬合金はタングステン・カーバイド(WC)とコバルト(Co)との合金であり、主にV30やV40が用いられています。なお、V30はコバルトを12%ほど含んでいます。たとえばパンチに硬いV30を採用し、ダイには比較的軟らかいV40を採用するなどの使い分けが一般的です。
同一形状の部品を均一に量産できるため、生産効率を向上させることができるプレス金型。
高度な技術が必要とされ、依頼する金型メーカーによって制作・量産にかかる期間や品質が異なります。
そこで、金型メーカーを選ぶ基準となる、精度を含めた品質・試作~量産までのスピード・起工~部品納品までの付帯費用を含めたコスパの3点それぞれに優れている金型メーカーをご紹介します。