こちらでは、プレス金型の試作対応について、さまざまな角度から解説しています。試作品を製作することの重要性や製作を依頼する業者を選ぶ際のポイント、試作品製作プロセスなどについてみていきます。
部品を量産するために使用する金型の導入において、試作品の製作は、とても重要なプロセスのひとつです。予定している量産品と同じ条件で加工した試作品を作っておけば、量産をスタートさせるまえに、仕上がり具合や仕様の確認が可能になります。
そして、試作品をじっくりと評価する際に、なんらかの不具合などが見つかれば、改善・解決を図れます。一旦量産がスタートしてしまうと、形状などに対してそういった変更を加えるのは難易度が高くなるだけでなく、より多くのコストもかかってしまうことなどを考えれば、試作品の製作がいかに重要かわかるでしょう。
試作品を製作する場合には、量産品の製作の依頼を予定しているのと同じ業者に任せるのが理想的です。とはいえ、「開発期間の短さ」や「低く抑えたい予算」などの問題をクリアするために、試作を専門に扱っている業者に依頼する方法を選択するケースも、一般的には少なくありません。
ただ事情があったとしても、できるかぎり試作品の製作と量産品の製作を同じ業者に依頼することをおすすめします。というのは、製作過程で得られたノウハウなどを、複数の業者間で正確にもれなくシェアされるとは限らない、という懸念があるからです。
もし引継ぎ時にミスがあり、想定していたものと異なる金型が出来上がってしまったら、時間や費用などこれまでかけてきたコストが無駄になってしまう可能性も否めません。
金型の試作品製作を依頼して、それをじっくりと評価・検討する時間がないような場合には、試作金型設備を持っている業者に相談してみるのもひとつの方法です。評価用の金型を所有していて、かつプレス機を使用できるところであれば、さまざまな試作対応をしてもらえるでしょう。
決められた納期に間に合うように、かつ、限られた予算内で試作金型を製作し、見つけた問題点を改善・解決してから量産に移行するというプロセス。これが、費用対効果の高い試作品製作となるのです。
量産用の製品の成形を行うショット数が多い金型を選ぶのも良いでしょう。ただしショット数の多い金型であれば、耐久性についても計算に入れておかねばなりません。耐久性を高めることで修理や交換などのコストを抑えれば、金型償却コストの削減がしやすくなるわけです。
高い耐久性を求めるなら、金型に使用する材質も入念にチェックしましょう。ショット数が多い金型には、耐久度の高い金型鋼が適しています。また、製品製造の所要時間を短くしたい場合には熱・電気の伝導性が高い銅合金が使用されることもあります。
耐久性も大切ですが、競合他社の中で競争力を高めるためには、高精度の金型製作も考える必要があります。緻密な加工が可能な工作機械を使用することで「平面度」や「直角度」などの機械精度が高い金型を製作でき、結果、部品を合わせたときにできる隙間の最小化も可能になります。
金型の品質を確認する際に行う量産試作から、量産の最終形状になるまでの間のプレス加工をつなぎ加工と言います。
生産量の計画が見えない状態のまま、最大個数での生産計画をベースにした金型を最終製造するのは非常にハイリスクです。
しかし、試作開発から量産に入るまでの段階では、ある程度の数量が見込まれるため、ロット数製造にふさわしい金型も必要です。このような場合、試作金型をそのままつなぎ対応するケースが多くあります。
製品設計に急な変更があった場合、量産試作でのつなぎ対応ができなくなるため、金型そのものを修正しなくてはなりません。
修正方法には切削と溶接の2つがあります。成形した凸状の部品と凹状の部品がうまく合わない場合、形状の修正を前提として金型を切削して製作します。
また、削り過ぎや磨き過ぎによって金型が薄くなってしまった場合、溶接によって元の肉厚まで復旧します。
このように、金型は量産試作の段階からさまざまな不具合が起きる可能性を予測し、できる限りつなぎ対応や金型修正ができる設計にしておくことが重要です。
同一形状の部品を均一に量産できるため、生産効率を向上させることができるプレス金型。
高度な技術が必要とされ、依頼する金型メーカーによって制作・量産にかかる期間や品質が異なります。
そこで、金型メーカーを選ぶ基準となる、精度を含めた品質・試作~量産までのスピード・起工~部品納品までの付帯費用を含めたコスパの3点それぞれに優れている金型メーカーをご紹介します。