プレス加工では金型に素材を詰め、圧力を加えて加工を行います。そのため、十分な安全対策を取らないと事故につながる可能性があります。ここでは、プレス加工時の危険と安全対策について考えていきます。
万が一にでもプレス機に手を挟んでしまえば、作業員は大けがをしてしまいます。事業者はプレス加工時の事故を予防するため、労働安全衛生法や労働安全衛生規則に基づき安全対策が義務付けられています。
プレス機を設置した場合、労働基準監督署に届出を提出することが必要です。加えて導入後、プレス機を初めて扱う作業員に対する安全教育を行うこと、プレス作業者に対する安全対策などが義務化されています。
作業開始前の点検も義務化されており、1年に1度は専門業者に点検してもらうことが求められます。
5台以上のプレス機械を設置する場合は、プレス機械作業主任者の選任が義務付けられています。プレス機械作業主任者は5年以上の実務経験を積み、技能講習を受講することで就くことが可能です。
リスクアセスメントは、危険有害要因を特定し、そこから生じる災害を積極的に防止することです。労働安全衛生法が改正され、リスクアセスメントが努力義務化されたため、プレス加工の現場でもリスクアセスメントの重要性が上がりました。中災防と日本金属プレスエ業協会が中心となり、中小規模のプレス事業者向けにリスクアセスメントの参考資料が作成されています。
労働安全衛生法で、プレス機械の金型の安全基準に関する技術上の指針が規定されています。
プレス加工の現場は、事故を誘発する要因が多く存在しています。ここでは、具体的な事故の事例を確認していきます。
作業者がプレスの油圧ポンプのレバーを操作していた際、上部にあった金型が一部破損し、破片が作業者を直撃しました。作業者は救急車で病院に運ばれましたが、死亡しました。
要因は金型がプレス機の最大圧力に耐えられる強度を備えていなかったこと、プレス機の設計段階で十分な安全対策が取られていなかったことです。同じ事故を起こさないためには、プレス機械の最大圧力を考慮して適切な金型を使用する、作業者の安全教育を十分に行い、習熟した作業者がプレス機の操作にあたるといった対策が必要になります。
プレス機械をストップさせずに隙間から手指を入れるなどの不注意をはじめとする、プレス機での事故が多く起こっています。
プレス機に限らず、機器をストップさせてから調整を行うといった対応をしましょう。そのほか、手指が簡単に入らないように、安全囲いの部品を標準化するのも有効です。また、事故原因を分類し、特定の業界で多い事故に関しては、業界の安全対策マニュアルを整備することで防止できる可能性が上がります。
同一形状の部品を均一に量産できるため、生産効率を向上させることができるプレス金型。
高度な技術が必要とされ、依頼する金型メーカーによって制作・量産にかかる期間や品質が異なります。
そこで、金型メーカーを選ぶ基準となる、精度を含めた品質・試作~量産までのスピード・起工~部品納品までの付帯費用を含めたコスパの3点それぞれに優れている金型メーカーをご紹介します。