QDC金型のQDCとはQuick(早い)・Die(金型)・Change(交換)の頭文字を取ったもので、短時間で金型の交換ができることから「迅速交換金型」とも呼ばれます。
QDC金型は多品種少量生産に対応できるように考案されたもので、短時間で交換できるようになっているのも、金型の交換で発生するタイムロスをできるかぎり短縮するのが狙いです。金型は重量があるほど交換に時間がかかるので、多品種少量生産を叶えるには交換にかかるタイムロスをなくし、プレス機の稼働時間を多く確保することが求められます。
人が持って取り扱えるような小型の装置に多く採用されているのも、コンパクトで低重量なQDC金型ならではの特徴です。
通常のプレス金型だと、金型を装着するのに必要なダイセットと呼ばれる部品も製作しなければいけません。QDC金型はダイセットが必要なく、QDCホルダと呼ばれる金型プレートにロケーションピンの穴があるだけの構造になっています。
非常にコンパクトかつ金型の交換もしやすい形状をしており、金型設計・製作時間の大幅な短縮と短納期での生産を実現しています。また、ダイセットを製作する必要がないので、コストを抑えられるのQDC金型の特徴です。
QDC金型の最大のメリットは、何と言っても短時間で金型を交換できることです。
通常のプレス金型だと、金型を装着したダイセットを交換するたびに芯出しの調整や試打ちを行う必要があり、時間がかかっていました。交換している間はプレス機を止めることになるため、時間がかかるほどそれだけの損失が生じかねません。
QDC金型ならダイセットが必要なく、金型を短時間で交換できるのでプレス機を停止する時間を短縮することが可能。生産ロスを抑えられるため、合理的な作業で多品種少量生産を叶えたい現場にも適しています。また、プレス加工した製品の取り出し時間も短縮でき、時間数当たりのパンチ数アップを実現できるのもQDC金型ならではのメリットです。
QDC金型はサイズが非常にコンパクトかつ低重量のため、金型の交換をスムーズに行うことができます。その一方で、サイズがコンパクトなことで、大きな物のプレス加工には向いていません。プレス加工したい製品によっては、QDC金型よりも通常のプレス金型にメリットを感じる可能性があります。
QDC金型を導入するのであれば、通常のプレス金型とQDC金型それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握したうえで、適材適所で使い分ける必要があるでしょう。
同一形状の部品を均一に量産できるため、生産効率を向上させることができるプレス金型。
高度な技術が必要とされ、依頼する金型メーカーによって制作・量産にかかる期間や品質が異なります。
そこで、金型メーカーを選ぶ基準となる、精度を含めた品質・試作~量産までのスピード・起工~部品納品までの付帯費用を含めたコスパの3点それぞれに優れている金型メーカーをご紹介します。