スマートフォン、EV(電気自動車)、産業機器。あらゆる電子機器に搭載されている半導体ですが、その性能を左右するのは「チップ」だけではありません。チップを支え電気をつなぐ「リードフレーム」と、それをミクロン単位で加工する「金型(かながた)」の技術が極めて重要です。
この記事では、リードフレームの構造や製造プロセスの詳細から、この分野の「切断・成形」工程において、知っておくべき情報を詳しく解説します。
リードフレームは、半導体チップと外部の電子機器をつなぐための金属製のフレーム。ICチップ(ダイ)を封止パッケージの中で機能させるための、複雑な構造体です。
リードフレームは、一枚の金属板の中に複数の機能部位を持っています。
リードフレームの製造には、大きく分けて2つの手法があります。
| 項目 | スタンピング(プレス加工) | エッチング(化学腐食) |
|---|---|---|
| 加工原理 | 「金型」を使って打ち抜く | 薬品で金属を溶かす |
| 特徴 | 大量生産・低コスト | 少量多品種・超微細形状 |
| 初期費用 | 高い(金型製作費が必要) | 安い(版代のみ) |
| 主用途 | 量産品の大部分(車載、家電等) | 試作品、超高密度品 |
世の中に出回る半導体の多くは「スタンピング」で作られており、ここで「超精密金型」の技術が必要不可欠となります。
「スタンピング」でリードフレームを作る際、単に一度プレスするだけでは複雑な形状は作れません。「順送金型(プログレッシブ金型)」という特殊な手法が使われます。
順送金型とは、数十〜数百の工程(ステージ)を一つの金型の中に並べ、金属の帯を少しずつ送りながら連続加工する技術です。
これらを1分間に数百回という高速で行いながら、累積誤差を数ミクロン以内に抑える技術が、日本の金型メーカーには求められます。
このような超精密加工を実現できる企業は世界でも限られています。現在の主要メーカーは、三井ハイテック、新光電気、Chang Wah Technology、ASM Pacific Technology、HAESUNG、SDI、Fusheng Electronics、エノモト、POSSEHL、Kangqiangなどです。2021年のデータでは、上位5社で市場の約40%を占めており、技術障壁の高さがシェアの集中に表れています。
参照元:QY Research|リードフレームの世界市場調査レポート:規模、現状、予測2024-2030(https://www.qyresearch.co.jp/news/3790/lead-frame)
金型で精密に加工されたリードフレームは、そのままだと銅(材料)が露出しており、すぐに酸化してしまいます。そこで、半導体チップや基板との接続を確実にするために、目的に応じた「めっき」が施されます。
リードフレームには、場所によって異なる役割のめっきが使い分けられます。
チップを載せる「ダイパッド」や、ワイヤを繋ぐ「インナーリード」の先端に施されます。非常に高い導電性が必要なため、貴金属が使われます。
基板に接する「アウターリード」に施されます。後工程で基板へはんだ付けしやすくするための処理です。近年では環境配慮のため、鉛フリーのスズ(Sn)めっきが主流です。
あらかじめ全体にニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)の多層めっきを施しておく手法です。製造工程の短縮や環境負荷低減に寄与するため、現在の主流の一つとなっています。
めっきは、金型加工の「前後」どちらで行うかによって、製品の特性が変わります。
実は、金型による「叩き(プレス)」の精度が、めっきの品質にも影響します。 例えば、インナーリードの先端を平らに潰す「コイニング加工」の表面が滑らかでないと、めっきが均一にのらず、ワイヤボンディングの剥離(不良)を招く原因になります。「精密な金型」と「高度なめっき」は、半導体の信頼性を支える車の両輪と言えます。
同一形状の部品を均一に量産できるため、生産効率を向上させることができるプレス金型。
高度な技術が必要とされ、依頼する金型メーカーによって制作・量産にかかる期間や品質が異なります。
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