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アルミラミネート材

スマートフォンや電気自動車(EV)のバッテリー、医薬品のブリスターパック、そしてレトルト食品の外装。これらに共通して使われているのが「アルミラミネート材」です。その多機能素材を高精度に加工し、製品の形に仕上げるのが「金型(かながた)」の技術です。この記事では、アルミラミネート材の構造と特性の基礎知識から、加工に不可欠な金型技術、そして品質を左右する成形上の課題まで、詳しく解説します。

アルミラミネート材とは?

アルミラミネート材とは、アルミ箔(アルミニウムの薄膜)を中心に、ポリエチレンやナイロンなどのプラスチックフィルムを複数層で貼り合わせた複合素材のことです。単体のアルミ箔はそのままでは強度が不足し、袋や外装として加工することが難しいため、異なる特性を持つフィルムと組み合わせることで、工業用途に耐える高機能な素材として使われています。

多層構造が生む機能と役割

アルミラミネート材は、外層・中間層・内層という多層構造によって成り立っています。外層には、耐衝撃性・耐熱性・突き刺し強度に優れた二軸延伸ナイロン(ON)が用いられることが多く、製品を物理的なダメージから守る役割を担います。中間層のアルミ箔は厚みわずか数十ミクロンながら、ガスバリア性・防湿性・遮光性・断熱性という、フィルム素材の中で最高水準の特性をあわせ持ちます。そして最内層には、熱で溶解・固化することで外装を封止するシーラント(熱接着性フィルム)が置かれており、密封性を確保します。この三者が組み合わさることで、単一素材では実現できない複合的な機能が生まれます。

素材の選定と用途の分岐点

アルミラミネート材の用途は非常に幅広く、選定される素材の組み合わせや厚みによって大きく変わります。リチウムイオン電池(LIB)の外装体では、電解液の漏れを防ぐ高いバリア性と、薄型・軽量化を両立する素材構成が求められます。食品・医薬品包装では、衛生性・密封性とともに、内容物の変質を防ぐ遮光性や防湿性が優先されます。一方、精密機械の防湿梱包や保冷ボックスなど産業用途では、耐久性や断熱性が重視されます。「どの機能を最優先するか」という要件が、材料設計と、後述する金型設計の両方に大きく影響します。

アルミラミネート材を成形する「金型」の役割

金型とは、プレス機と組み合わせて材料を所定の形状に加工するための専用の工具です。アルミラミネート材の場合、打ち抜き・切断・絞り成形といった複数の加工を金型によって行い、電池外装や包装袋などの最終形状に仕上げます。形状・寸法・品質の均一性を高精度に保ちながら大量生産を可能にする点で、金型は製造工程の要と言えます。

アルミラミネート材の加工方法の分岐点

アルミラミネート材の成形加工には、大きく分けて「打ち抜き加工」と「絞り成形加工」の二種類があります。

項目 打ち抜き加工 絞り成形加工
加工原理 金型で材料を所定の形に切り取る 材料を引き伸ばし、立体的な凹形状をつくる
特徴 形状の再現性が高く、高速大量生産向き 深さのある容器状の成形が可能
主な用途 包装袋の外形カット、電池電極部の成形 LIB電池外装体(パウチ型)の成形

打ち抜き加工は、金型を使って材料を高精度に切り抜くブランク加工です。アルミラミネートのような多層フィルムでは、各層の材質と厚みが異なるため、クリアランス(パンチとダイの隙間)の設定が品質を左右します。一方、絞り成形加工は材料を少しずつ変形させながら深さのある形をつくる工程で、LIBのパウチ型電池外装に広く採用されています。成形深さ10mmを超える角型形状や、一辺が150mmを超える大判成形まで、多様なニーズに対応できる技術が求められます。

連続生産を支える「順送金型」と「フープ成形」

アルミラミネート材の量産工程では、コイル状(フープ材)に巻かれた素材を自動で送りながら連続成形する方法が採用されることがあります。複数の工程(打ち抜き・成形・切断など)を一つの金型の中に配置し、材料を少しずつ送りながら連続加工する「順送金型(プログレッシブ金型)」が用いられる場合には、一分間に数十〜数百回という高速サイクルで安定した形状を量産できます。サーボプレスと組み合わせることで成形速度や加圧プロファイルを細かく制御でき、デリケートなラミネート素材に対しても安定した品質を維持することが可能です。

アルミラミネート材の金型加工が難しい理由

アルミラミネート材は多層複合材料であるがゆえに、単純な金属板とは異なる加工上の難しさを抱えています。金型設計と成形条件の両面で、材料特性への深い理解と精密な制御が求められます。

多層材料特有の「層間剥離」と「バリ」問題

アルミラミネート材をプレスで打ち抜く際、各層の素材が持つ強度・延性・弾性が異なるため、切断面において層と層の間がわずかに剥離したり、バリ(毛羽立ち)が発生したりするリスクがあります。特にアルミ箔層はほかのフィルム層に比べて延性が低く、打ち抜き時のせん断力によって微細なクラックが生じる場合があります。これを防ぐためには、パンチとダイのクリアランスを材料構成に合わせて最適化し、刃先形状を鋭利に保つことが不可欠です。金型の磨耗状態を定期的に確認し、メンテナンスサイクルを適切に管理することが、品質安定の鍵となります。

アルミ特有の「スプリングバック」との戦い

金属材料全般に見られる「スプリングバック」は、アルミラミネート材の成形においても大きな課題です。スプリングバックとは、プレス成形で加えた力を除いた後に、材料が弾性力によって元の形状に戻ろうとする現象のことです。アルミニウムはスプリングバック量が比較的大きく、板厚が薄く耐力が高いほどその傾向が強まります。絞り成形でパウチ型の外装体を作る場合、目標の成形深さや寸法精度を達成するためには、スプリングバックの量をあらかじめ計算に入れた金型形状の補正設計が必要です。実際には解析ソフトによるシミュレーションと、試作を繰り返した上での現場調整(トライ)によって、最終的な金型形状が確定されます。

ピンホールを防ぐ「成形深さの限界」管理

アルミラミネート材の絞り成形では、成形の深さが増すほど材料への負荷も高まります。過度に引き伸ばされたアルミ箔層は、肉薄化が進んで最終的に微細な穴(ピンホール)が生じることがあります。LIB電池外装においてピンホールは致命的な欠陥であり、電解液の漏れや電池性能の劣化に直結します。そのため、材料ごとに成形可能な深さの上限(成形限界)を事前に把握し、金型設計の段階からその制約を踏まえた形状と加工条件を設定することが求められます。成形深さが大きい場合は、複数回に分けて段階的に成形する「多段絞り」の手法が採られることもあります。

信頼性を高める「金型精度」と「後工程管理」の関係

アルミラミネート材の成形品質は、金型そのものの精度だけでなく、切断後の端面状態や封止(シール)工程の管理とも密接に関わっています。最終製品の品質を保証するためには、金型加工から後工程まで一貫した品質管理の視点が欠かせません。

切断端面の品質が製品性能を左右する

打ち抜き加工後の切断端面の状態は、後工程の熱シール(ヒートシール)品質に大きな影響を与えます。端面に毛羽立ちや剥離があると、ヒートシール時に密封不良が起きやすくなり、製品の気密性・水密性が損なわれます。また、電池外装の場合、端面からの電解液浸入リスクも高まります。パンチとダイのクリアランスを素材構成に合わせて精密に管理し、刃先の摩耗状態を定期的に点検することで、切断端面を常に安定した状態に保つことが求められます。金型のメンテナンス計画を生産スケジュールと連動させて運用することが、長期にわたる品質安定の前提となります。

金型設計と成形条件の「一体的な最適化」

アルミラミネート材の成形において高品質を実現するためには、金型の形状設計と成形条件(加圧力・速度・潤滑方法など)を一体的に最適化する必要があります。例えば、サーボプレスを用いれば加圧プロファイルを細かくプログラムでき、成形の各段階で材料に加わる力を精密にコントロールできます。これにより、ピンホールやスプリングバックといったアルミラミネート特有の不良を未然に抑制しながら、高い生産性を維持することが可能になります。金型メーカーとプレスメーカー、さらには材料メーカーの三者が技術情報を共有し、連携して開発を進める体制が、この分野の品質向上において実際に重要な役割を果たしています。

アルミラミネート材の金型に求められる「素材・設計・耐久性」

金型自体の素材と構造設計も、アルミラミネート材の加工においては重要な要素です。加工する材料の特性に合わせて、金型の材質・表面処理・構造を適切に選定することが求められます。

金型素材の選定と表面処理

アルミラミネート材の打ち抜き・成形に用いる金型には、高い硬度と耐摩耗性を持つ工具鋼(SKD11など)や超硬合金が使用されます。特にアルミ箔を含む多層素材の打ち抜きでは、刃先が摩耗しやすい傾向があるため、TiNやDLCコーティングなどの表面処理を施すことで寿命を延ばす手法が広く取られています。また、アルミは金型への凝着(かじり)が起きやすい素材でもあるため、潤滑剤の選定と管理も合わせて重要な設計要素となります。金型の寿命を最大化し、交換・メンテナンスの頻度を計画的に管理することが、量産コストの安定化につながります。

大判成形・複雑形状への対応技術

LIB電池外装のパウチ型容器は、製品の大型化・高容量化に伴い、成形サイズが□150mmを超える大判成形が求められるようになっています。大判の絞り成形では、材料の各部位に加わる引張力の分布が不均一になりやすく、しわや割れが生じるリスクが高まります。これを防ぐために、ブランクホルダー(材料押さえ)の圧力分布を精密に設計し、成形工程を複数のステップに分けて材料を段階的に変形させる手法が採用されます。また、金型の加工精度そのものも重要であり、ミクロン単位の寸法管理が製品の形状精度と成形安定性を左右します。こうした高度な金型設計・製作技術の蓄積が、アルミラミネート材加工における競争力の源泉となっています。

アルミラミネート材の金型加工は「素材理解」と「技術の融合」

アルミラミネート材は、軽量・高バリア・封止性という優れた特性から、EV電池・食品・医薬品・精密機器など幅広い分野で需要が急拡大しています。しかしその加工は、多層複合素材ならではの難しさを伴います。スプリングバック・層間剥離・ピンホールといった課題に対応するためには、素材の物性を深く理解した上での金型設計、成形条件の最適化、そして一貫した品質管理体制が求められます。金型の精度とプレス技術、さらには材料技術の三者が融合することで初めて、アルミラミネート材の高品質な量産加工が実現します。この分野の技術的な深さと可能性は、今後も製造業の現場で重要性を増し続けるでしょう。

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山岡製作所 加藤数物 三井ハイテック

引用元:山岡製作所公式サイト
(https://www.yamaoka.co.jp/)

引用元:加藤数物公式(https://kato-suubutu.com/)

引用元:三井ハイテック公式(https://www.mitsui-high-tec.com/)

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